日本語 - レーシング用アルミラジエーター | DRL | DAIWA RACING LABO

vol.4レーシングを通じて自発的な学びをひきだす(日本自動車大学校)

今回のS耐第6戦にはMAZDA ROADSTERで日本自動車大学校と iCraftの合同チームで参戦。
チームのAドライバーであり、モータースポーツ科で教鞭をとっていらっしゃる金井先生と、
モータースポーツ科の学生鈴木さん、女性ドライバーの猪爪杏奈さんにお話を伺いました。

毎日をともに過ごす仲間の一体感が強みです
■金井 亮忠さん(日本自動車大学校・教員)

学生たちの指導を行う金井先生

今回のレースには、モータースポーツ科の学生さんが参加されているとのことですが、人数はどのくらいですか?

S耐のチームとしては6名が参加しています。
現在モータースポーツ科には17 人が所属していて、 その中で3つのチームに分かれて活動をしている形です。

学生さんたちは何年くらい勉強されるのですか?

うちの学校は、高校を卒業した生徒が入学して、まず2年間の過程で学んで二級整備士の資格をとります。
モータースポーツ科はそのあとのさらに1年課程のコースで、合わせると在学期間3年になります。

S耐には去年から参戦されているそうですが、参戦の経緯を教えてください。

もともと学校としては フォーミュラカーとツーリングカーのレースということで、
JAF-F4レースと学生たちが自分たちでドライバーをやれる耐久レースに参加していました。
現在のS耐チームの監督がiCraft(アイクラフト)というチームを立ち上げて、
僕もプライベートで一緒にナンバー付きの耐久レースに参戦していたんですけれど、
『ステップアップして S 耐をやりたいね』という話になったんですよ。
だったら学校とコラボして、クルマづくりとかメンテナンスとか授業の一環でやらせてもらいながら、
一緒にステップアップしていこうと。

僕自身も小学生の頃からずっとレースをやっていて、
カートからはじめて今もフォーミュラカーにも乗らせてもらっていますが 、
学生の教育とプロじゃないけどもっと上のカテゴリを目指したいというドライバーさんと、
みんなで成長していこうというスタンスで始めたのがきっかけです。

3人のドライバーで(金井先生/猪爪選手/岡田選手)
チームを担う頼もしい学生たち

F4と今回のS耐は取り組み方としてどういう違いがあるのですか?

F4は学校が一台所有していて、我々はコンストラクター(製造者)として参加して、
学生たちと一緒に車をつくっています。うちはメーカーとして出ているんですが、
そういった「ものづくり」の一環としてずっと続けています。

こっち(S耐)はチームから依頼を受けて、ノーマル(ナンバー付きの)ロードスターから
この学校でS耐用の車をつくって、普段のメンテナンスとかピットの作業とかを学生たちがやっています。
基本的にはレーシングチームと同様のことをやっていますね。

学生さんたちが卒業して、実際にこういったレースの世界で働きたいなとなったときに
より実戦に近い経験があるというのはいいですね。それも参戦の理由ですか?

やっぱりスプリントレースだと決勝が始まっちゃうとあとはドライバー任せみたいになっちゃいますが、
スーパー耐久だとメカニックのウエイトもどんどん大きくなってきますしね。

ピットの中は真剣そのもの

学生さんたちにもいい影響がありそうですね。
一方で実戦の場で学生を指導しながら、同時にレースをやっていくというのはかなり難しいのでは?

他のチームからするとすごく大変に感じられるかもしれませんが、
僕らはそれが職業でもあるし、 そのため(指導するため)にやっているというのもありますしね。
あと強みとしてはメカニックもドライバーもエンジニアも、 みんな常に一緒にいるメンバーですからね 
そこがすごい強みなんですよ。
お互いの事がよく分かるし、車を作るにしても僕がドライバーを務めることで
フィードバックをすぐに 伝えられるし、
メカニックも僕が教えているので一緒にクルマ作りをすることができますからね。
常に一緒にコミュニケーションをとることで改良をすすめています。

それと、メンテナンスの重整備に関して言えば、普通のチームだと整備をやればやるだけ商売ですが、
僕たちは商売ではなく勉強のためにやるので、 壊れたから直すんじゃなくて、
壊れなくてもオーバーホールをしたりとか、 それが学生の勉強になりますからね。
ある意味、他のチームよりも細かいところまで常にクルマを見ることができたりしますね。
学校の中にも小さいですけれども、サーキットもあるので、
仕上げたらそこでチェックで走らせてもってきています。

入念に調整ができますね。

レース前のピット作業の練習なども、学生たちがいるので学校で練習して
現地にきて、最終的にもう一回調整して、というような感じです。
常に一緒にいることで、寄せあつめではない一体感がありますね。

コースからの入庫を迎える
きちんと並べられた道具
ラジエーターにはDRLを採用

実際学生さんは変わってきた感じはありますか?

いやもう一年で全然違います。もうほうっておいても搬入から普段のメンテナンスまで自主的にやってくれて、
あとはチェックするだけです。飲み込みも成長もはやいですね。
残念なのは一年で卒業しちゃうことなんですよ。
学生が卒業すると全部1からですね。
毎年チームが変わります。

なかなか他にはないカリキュラムですね。

複数学年あれば、学生間の引き継ぎができていいんですけどね。
うちは(モータースポーツ科は1年間なので)4月から3月までで終わりなんでね。
4月に整備士のコースからあがってきて、クルマも初めて触るし、
サーキットにも初めて来る、というところからのスタートです。
卒業してレーシングの世界でプロのメカニックになる子もいますし、
一般車のディーラーさんに行く学生もいますよ。

2年終わってさらにもう一年学ぶとなると、学生さんの目標がはっきりしているというか、より明確になりますね。それで今回の3位入賞という結果は素晴らしいですね!!

ありがとうございます。

より深く知ることで、車が一層楽しくなりました
■日本自動車大学校 鈴木 匠さん(学生・メカニック担当)

さわやかにインタビューに答えてくれた鈴木さん

このチームでの役割はどういったものですか?

基本的には班長というかたちでやらせてもらっていて、
ピット作業では最初はドライバー交換の補助から担当していたのですが、
後半からはずっとエアジャッキを担当しています。

学生同士こういう取り組みをするというのは、どんな感じですか?

遠征がいっぱいあったりするので楽しいです。
学校での作業はもちろんですが、学校外での関わりもあるので
そういうところは結構楽しいと思います。

これをやる前と、実際にやってみたあとではどうですか?

普段の整備以上に深く車を触るので、より一層車が楽しくなるというか、
深いところまで知ることができるからこそ、車のいいところがさらにわかってくるので、
自分にとってもすごくプラスになっています。

今年3月には卒業ですね。卒業後はどんなことをしたいと思っていますか?

レーシングチームに入る予定です。
この一年で学んだことをなるべく生かして
より一層成長できるように頑張りたいと思います。

これからが楽しみです。ありがとうございました。

フィールドではプロの表情
チームで相談
青空にブルーの車体が映える

速さでも見せられるドライビングを目指しています
■猪爪 杏奈さん(ドライバー)

キラキラの笑顔がまぶしい猪爪選手
試合前に日本自動車大学校のドライバーとともに

車はどういうきっかけで始められましたか?

父親の影響を受けて19歳で免許をとって、20歳からはじめました。
カートなどはやってないです。

これまでどういったレースに参加されましたか?

最初は電気自動車のレースに参戦しました。
翌年 21 歳のときに、マツダが自動車産業で活躍する女性を育成しようというプロジェクト
(Mazda Women in Motorsport Project)の2期生として 2016 年に加入して、
ここ岡山のロードスターパーティーレースで公式戦デビューし、
その年の日本一決定戦で予選ポールポジションをとりました。
その後もMWIMで育てていただきました。

すごいですね!!女性ドライバーって聞くだけでもワクワクします!

現在26歳で、6年目になります。
ただ、使っているマシンは(男女で)いっしょですからね。
このカテゴリではあまり(男女差が)ないので、純粋に男女関係なく勝負したいなと思っています。

かっこいいです!!なかなか女性ドライバーっていないように思いますが。

車が好きで始めるっていうとやはり男性のほうが多くなりますし、
世界的にみても女性は少ないのですが、それでも数年前に比べると女性も増えてきていています。
いま競走女子選手権という女性だけで行われるレースにも参戦していますが
女性の割合は増えていますね。

チーム(日本自動車大学校)の車両

レースの中で自分のこだわりというか、こういうところはすごく大事にしているというのはありますか?

うーん、そうですね、やっぱり女性だから出られるっていう見方をいつもされるので
速さでも見せられるように頑張っています。
あとは綺麗でいたいっていう思いもあります。
ヘルメットを脱いで降りた後も、きれいな顔でいられるようにお化粧とかもちゃんとして乗っています。

女性活躍というところで、マツダさんからも応援していただいておりますし
男性社会の中でもキラキラ輝いている姿を見せたいので、
「(走りが)速く、綺麗で、強い」っていうところをいつも目指して頑張っています。

まぶしい笑顔にピットが明るく

S耐への参戦はどのくらいになりますか?

はじめて参戦したときから数えると、シリーズは3年目になりますね。
同じロードスターです。
去年はこのチームで2年目でした。1年目はマツダのチームでしたよ。

ふだんのトレーニングは?女性と男性だと筋肉の付き方もちがいますよね。

そうですね、やっぱりホルモンのバランスなどもいろいろありますし、
体調をくずさないように、睡眠や食事などの摂取するものにもある程度気をつけています。
体力トレーニングでは持久力をつけて、
筋力トレーニングはあんまり重いものを持って重量選手みたいになっても仕方ないので
どちらかというと悪いバランスの中で体幹をしっかり鍛えられるような
バランスのとれるトレーニングをしています。

体育会系で育っているので、体力はある程度自信があったのですが、
やっぱりフォーミュラにも乗ったときに、体力差を感じましたね。
それをきっかけにトレーニングを見直してやっています。

まさにアスリートですね。同じ土俵に男性と乗らないといけないから大変ですよね。
女性だからって特別に違うって思われないように、輝いていけたらいいですね。

そうですね。大変ですけどやっぱりそれで勝ったときがすごく嬉しいです。
体力差はどうしてもありますが、それ以外のメンタルや食事というところで男性以上に気をつけて、
今後も勝てるように工夫したいですね。

それから、女性も頑張っているということを、 社会にもっと発信していけたらと思っています。
こんなに楽しいスポーツは他にないと思っているので
まずは国内でたくさんの方に興味を持っていただけるように、
私にできることを考えていきたいです。


金井先生の熱い思いを受けて、楽しそうにキビキビと動いている学生さんたち。
そのキラキラと輝く瞳とフレッシュな雰囲気に、スポーツならではの清々しさを感じました。
これからのモータースポーツ界を担う人材が、ここから生まれてゆくのが楽しみです。
本日はありがとうございました。

vol.6 あこがれからの始まり-ドライビングを楽しむ(チームDRL)

11月最後の週末に岡山国際サーキットで行われたチューニングフェスタ2021。
降霜の朝から一転、真っ青な空と心地よい日差しのもと、レースに参加するチームの個性的な車両や、
さまざまなチューニングパーツなどを間近に楽しめる1dayイベントが行われました。

イベントレースにはDRLもRX-7(FD)で参戦、マイスターカップ決勝では
最後尾27位からのスタートにもかかわらず8位入賞、タイムアタックレースにも出場いたしました。
チームDRLのドライバーをつとめる山本選手にドライビングにかける思いや、走る楽しみについて
ざっくばらんに語ってもらいました。

インタビューに答える山本ドライバー
ヘルメットを整えて、レースへの気持ちを集中

走り始めた
きっかけはRX-7

さきほどの決勝レースは全7周と短時間の中、
27位スタートからの8位入賞で素晴らしかったですね!

ありがとうございます!
いろんな人がいて、助けてもらって走れるので、感謝しています!

今日はDRLのドライバーとしてドライビングにかける思いや、
走る楽しみについてお話を聞かせてください。

まずはドライバーをはじめたきっかけについて教えてください。
免許はいつ取得されたのですか?

19歳か20歳ですね。
最初は普通免許をとって、そのあとライセンスを取得しました。

そもそも車に興味をもたれたのはいつでしたか?きっかけは何だったのですか?

きっかけは、広島で学生だったときに雑誌を見て、ですね。
中古車雑誌でしたが、かっこいい車があるなと。
それがRX-7です。

なるほど、「これに乗りたい!」というのがきっかけだったのですね。
初めてあこがれのRX-7に乗ったときの気分は?

まだサーキットを走ってなかった頃で、
免許をとって一般道で初めてRX-7に乗りました。
気分的にはもう有頂天(笑)っていうんでしょうか? やっと乗れた!っていう

そこから人生が変わったのですね!
最初にサーキットを走った印象はいかがでしたか?

そうなんですよ!(RX-7で)車が好きになって、
ライセンスを取得したのは岡山を走り始めてからです。
今はないのですが山口の美祢(みね)サーキットで走っていました。
最初にサーキットを走ったときは
もう何がなんだか、サッパリわからず走っていた…という記憶がありますね(笑)

初めてのレースは緊張しますよね。
どんなレースだったのですか?

どう走っていいのかというのが全くわからなかったです。
初めてレースに出たのは、当時通っていたショップさんが主催された走行会です。
仲間もいたし、ショップの相談できる方もいたので楽しかったですね。

レースをともにする相棒のRX-7(FD)

DRLのドライバーとして
レースに臨む気持ち

DRLのドライバーをつとめる中で、
うまくいったなとか、これは楽しいなと思うのはどんな瞬間ですか?

やっぱり、結果が出たときですね。
テストもそうだし、レースもそうだし、
(結果として)自分がイメージした理想通りの走りができたとき!です。

逆にこれは難しかったとか、これから頑張りたい、超えたいと思うところはありますか?

そうですね、頑張りたいことといえば、目標タイムのクリアですね。
実はまだデモカーで、1周あたりの目標タイムを達成できていないんですよ。

走る前の一瞬、集中するとき

走る前に目標タイムを設定されているのですね。

はい、設定しています。
もちろんサーキットによってもラップタイムは違うんですけれども、
ここ(岡山国際サーキット)の目標タイムをまだ達成してないので、チャレンジ中です。

ちなみに目標と今の自己ベストは?

早い人にとっては平凡かもしれないですが1分36秒あたりで走りたいです。
今の自己ベストは1分38秒ですね。
あと2秒が大きいです。1秒が大きいんで。

どこを攻略したら2秒を縮められるのでしょうか?

すべて、ですね(笑)
コーナーとコーナーをつないでいって、それがうまくいけば1周がはやくなる。
そう思っています。

シュミレーションやイメージトレーニングもされますか?

そうですね、するようにしています。
いまはYouTube等もあるので、いろいろ速い人の動画をみたりしながらイメージしています。

どういったところを参考にされていますか?

この人はこういうところで踏んでいるなとか、こういう動きをしているな、とか
じゃあちょっと真似してみようという感じで参考になりますね。

レース前にグローブなど身支度を整える

走るときにはかなりの集中力が必要だと思いますが
集中するためのルーティンなどがあれば教えてください。

特別これというわけではないですが、深呼吸は2回します。
ルーティーンなのかどうかわからないけど、気づいたらやっていますね。
シートに座ってからです。ハンドルを握って、深呼吸を2回して。
自分の中でのリズムがあるのかもしれないですね。

今日は予選レースの1周目でミッションのトラブルがありましたが
気持ちをグッと高めて、よし行こうというときにトラブルなどがあると
なかなか気持ちを立て直すのが難しいかと思いますが、切替はどのように?

僕はあまり気にしてないんで、もう1回頑張るかという感じです。

前向きですね!

そうですね!!

その姿勢が今日の結果にもつながったということですね。
ありがとうございました。

乗り込んで、スタンバイに入る
後半の追い上げでの加速
車体のフロントには歴代の開発プロダクト名が刻まれている
応援に駆け付けた大和ラヂエーターの代表

はにかんだ笑顔で、様々な質問に素直に答えてくださった山本ドライバー。
これからも真っ直ぐで、のびやかな走りを期待しています。
ありがとうございました!

2023.5.14 DRL CIRCUIT MEETING

ご参加いただきました皆さま、ありがとうございました!

2回目となる今回は、カルロス本田さまが初心者レッスンの講師をしてくださいました!

①カルロス本田先生の初心者レッスン

イベントをサポート、盛り上げてくださる加茂さんも一緒に

座学のあとは、シートに座った初心者ドライバーひとりひとりに走り方の基本を伝授!

パドックで練習

先導走行でサーキットコースへ!

photo by Jun Sakamoto

写真の無断転載はご遠慮ください。

イベントレポート:チューニングフェスタ2021 in 岡山国際サーキット

走る楽しみを
もっと感じてもらえるように

DRLの展示ブースでは、本格的な走りを追求するコアなファンの皆様にはもちろん、
体験を通じて子どもたちや、ご家族にもモータースポーツを楽しんでもらえるきっかけとなるよう、
今年は塗り絵やミニ四駆の参加型イベントを初めて行いました。

展示では、今年のS耐でmutaracing GR Supraに採用されたラジエーター4台をはじめ、
Z34の匝(ラジエータータンクにオイルクーラーを内蔵)などを展示しました。
また、ラジエーターが本来の性能をフルに発揮するためにとても重要な風の存在を
視覚的に伝えられるようミニチュア風洞実験機(第一弾)も準備。
DRLのエンジニアが解説しました。

岡山国際サーキットは2本のストレートを合計13のコーナーで繋ぐ構成
GR Supraのラジエーターを初披露
走行風がコアにめいっぱい当たることの大切さを体験してもらうため製作したミニチュア実験機第一号
製品展示の様子
GT-Rと一緒に製品を展示
ブースにはたくさんの方が訪れてくださいました

ご家族や子どもたち
思い思いに楽しんで

今回はじめての試みとして行った、子どもも大人もみんなが一緒に楽しめる!をテーマにした
体験型イベント。
ブース内に設けたミニ四駆のコースは小さな子どもでも楽しみやすいシンプルな形状に。
気に入った車を選んで、ご家族で一緒に組み立てて楽しんでもらったあとは
出来上がったばかりのそれぞれの車両でサーキットデビュー!
結構なスピードがでるので、コースアウトも続出(笑)
自分で組み立てているから楽しさもひとしおです。

塗り絵も盛況で、DRLのデモカーを思い思いの色で彩って、ユニークな一枚に。
どちらもにぎやかに楽しんでいただけました。

コーナーや坂道もあるミニ四駆のコース
こどもたちは器用!ちいさな手でどんどん仕上げていきます
男の子だけでなく女の子の参加者もたくさん!
それぞれに素晴らしい仕上がり!
いよいよ自分の手で走らせてみる。スタート!
子どもたちの自由でユニークな色使いに感動!
細かい部分まで丁寧に塗ってくれました

チームDRLとして
イベントレースに参戦

イベントとあわせて開催されたレースには、DRLもRX-7(FD)で
タイムアタックレースとマイスターカップに出場。
マイスターカップ決勝では、予選でのミッショントラブルの影響で
最後尾27位からのスタートにもかかわらず8位入賞を飾ることができました。
チームドライバーのインタビューもあわせてご覧ください。

チームDRLのデモカー RX-7(FD)
予選でのミッショントラブルをチェックするメカニック
予選と決勝の間にミッションを取り換える。スピーディーかつ正確な技術とチームワークで見事装着
最終調整をみつめながら、レースへの気持ちを高める
トラブルに見舞われたが、決勝レースは無事に出場!
ピットビューで訪れてくださったオーディエンスのみなさんと
レースの合間、ピットを訪れた子どもたちもデモカーに興味津々
今日のレース結果をレビュー
決勝前にタイヤを交換。タイヤを温めて目標ラップタイムを目指す!
走る前の一瞬、集中するとき
最後尾からぐいぐいとスピードを上げ、8位でフィニッシュ!

vol.1レーシングエンジニアにとってラジエーターとは

取材当日は2021年S耐第4戦の決勝レース開始直前、ST-1クラスに参戦する最終のチューニングを行うピットのそば。やさしい笑顔と気さくな語り口で答えてくださる伊藤さんに、プロの目でみるラジエーターについてお話を伺いました。

ピットでスタンバイするマシン
レース前にマシンの最終チェックをする伊藤さん

レースは熱との戦い
だからこそラジエーターを強化する意味がある

まずは基本的な質問から、
チューニングを行うパーツのうち、ラジエーターの重要度についてはどうお考えですか?

「レースは基本的に熱との戦い。エンジンにしても何にしても熱を持つものばかり、それを冷やすという意味ではラジエーターは無いと走れないものですね。エンジンに比べて華やかではないかもしれないけれど、重要度はものすごく高いです。」

レースというと、エンジンの性能やスピードなどのイメージがありますが、ラジエーターとスピードとのバランスという意味ではいかがですか?

「ラジエーターは直接スピードには影響しないのですが、ノーマルでもチューニングエンジンでも、エンジンは馬力を出せば出すほど熱量が上がる。そのパフォーマンスを維持するためには出る熱をちゃんとはかさないといけない、そうなると純正ラジエーターだと足りないということです。チューニングの度合いに従ってラジエーターも強化する必要がありますね。
僕らも実際エンジンはほぼノーマルを使っていますが、レースではずっと最高出力に近いところで使うのでノーマルのラジエーターだと到底足りない。出力を保って走るためには絶対に必要です!」

コーナーでの攻防。勝負に出る際の妨げにならないよう常にエンジンの温度管理は大切

冷えることに加えて
サイズや重量とのバランスが大切

なるほど、エンジンにとって、とても大事なパーツですね。
そうなると、理想的なラジエーターというのはどういうものになりますか?

「もちろん冷えれば冷えるほどいいのですが、サイズや重量も大事ですね。最近よくあるのが無駄に分厚いラジエーター、大きくて見た目のインパクトはすごくあるんだけど、実際はそんなに厚いと風も抜けないし、重い。部品自体の重さに加えて水をいれると重量もかなりになりますからね。そうなると、でっかいラジエーターをつけて余計に悪くなるってことは意外とありますから。
それに対してDRLさんはコンパクトで薄い、絶妙なサイズ感できてますよね。」

車全体のバランスを考えたチューニング。狭いエンジン内で「コンパクトで薄い」という特性は重要
レース車両に取り付けられたDRLのラジエーター
DRL製品はフィンやチューブの内側も全てアルミ素材が基本

アルミ金属素材の安心感
純正との違いとは

素材に関してはどんな要件やこだわりがありますか。

「DRLさんのはアルミで作られているので、強度があると思います。純正品だとプラスチックなので、ちょっとぶつかると曲がってすぐ漏れてしまう。金属だとちょっとぐらいぶつかっても、曲がりはしますが漏れはしないので。
耐久だと多少ぶつかっても大丈夫な、頑丈さが必要ですからね。そういう面ではかなり助かってます。」

今回のS耐では5時間、あの速度で走り続けるってことですよね。

「前回はもっとですよ、24時間ですからね」

24時間と5時間だと全然ちがうんですか?

「全然ちがいます!!(笑)」

ラジエーターの強度についてはいかがでしょうか?

「24時間だと夜間も走りますから、やはりものが当たったり多少の接触などがあるんですよ。当たったクルマが戻ってきたら、バンパーまわりを直してまた行かせてますが、それって意外となかなかできないですから。普通は前がぶつかったらラジエーターが壊れて、水も漏れて戻ってきますからね。」

なるほど、その強度もある程度想定しておかないといけないんですね。

「そうですね、想定しておかないといけないです。素材も大事です!」

メカニックのチームメンバーと最終チェック
数値データをチェックし、スタート前の最終確認。
カーレースはチーム戦。各々の役割をしっかり行いチーム全体をまとめるのがエンジニアである伊藤さんの仕事

自作のラジエーターでは使えなかった
冷却性能のパラメーター、サーモスタットが使える!

ラジエーターの信頼性で一番大事にしたいポイントをお聞かせいただけますか?

「一番大事にしたいのはやっぱり冷却性能ですね。実はDRLさんのを使わせてもらう前までは、実際僕が自分で作ってました。
コアだけっていうのが売っていて、それにアルミで板を切って曲げて溶接して作っていたんです。自作だとまともな圧力検査とかもできないし、そもそもそれが冷えるかどうかも確実ではないんだけど、ノーマルよりかは冷えるから使っとこうって使っていました。
DRLさんのラジエーターを一番最初に使わせてもらったのはたしかS2000で、はじめてサーモスタットをつけました!」

サーモスタットはどういうものですか?

「サーモスタットは、車のエンジンがオーバーヒートしないように温度調整をおこなう大切な部品です。エンジンが冷えているときはラジエーターとの水路の蓋が閉まって、エンジンの中で冷却水を還流させますが、エンジンの温度上昇にあわせてサーモスタットが開いていき、冷却水がラジエーターに流れ出すというしくみです。
サーモスタットをつけるとその流路があまり広くないため、普通レースでは外してしまって、冷却水がラジエーターにずっと循環している状態です。
でもそれだと意外と冬が面倒くさい。11月くらいから、冬だと冷え過ぎちゃうので、ラジエーターの前にガムテープ貼ったりしてあえて冷えを抑えておかないとオーバークールになるんですよ。」

様々なメーカーのパーツが採用されているレース車両
スープラらしい力強い顔つきとカラーリング

冷却性能が高いからこそ
ラジエーターに任せられる信頼感

なるほど、冷えすぎなのもだめなんですね。

「人間と一緒で適正体温(水温)があります。人間は運動すると熱をはかすために汗をかいて発汗で自己調節できるけど、車は水冷式ですからね。」

ほどよくいい状態をずっと保てることが大事なのですね。

「そうなんです。サーモスタットは基本的には冷却の邪魔だったのでずっと使っていなかったんですが、ラジエーターがちゃんと機能するとそもそもの冷却性能があるので、サーモスタットがつけられるんですよ。そうなると冬になってもガムテープを貼ったりしなくても、ほどよい水温で回ってくれるから、あれこれ考えなくてすみますね。」

ラジエーターに任せられる信頼感ですね。

「冷却性能が高くないとつけれないですからね。」

自作しなくてよくなりましたね(笑)

「ラクしちゃってます(笑)」

DRLを使いはじめたきっかけ
インタークーラーでの模索

DRLの製品を使い始めたきっかけを教えていただけますか?

「後輩が他のチームにいて、自作するより冷えてるっていうんです。サーモスタットの話にもなって、サーモつけてますよって聞いて驚きました。それまでレース界でサーモスタットをつけているのを聞いたことがなくて。初めて聞きましたね。
それでDRLさんに相談したのがきっかけです。提供が決まってからはやみつきになってます(笑)。」

なるほど、口コミというか、実際に使われた経験を聞いてということですね。
ではインタークーラーについてはいかがですか?

「僕らはずっとNA、つまりインタークーラーを持っていない、ターボ車ではない自然吸気エンジンの車を使っていたんですが、今年初めてスープラでトライしています。これが変わったインタークーラーで、水冷式なんですよ。
その水冷インタークーラーのための水を冷やす、インタークーラー用のラジエーターというのがエンジンのラジエーターとは別にあって、それを今回無理言って作ってもらいました(笑)。
オーダーメイドでDRLの設計の方が何回か来られて、外した純正部品もみてもらって、やりとりしながら出来上がるまでに結構時間がかかりました。」

使ってみて、感触はいかがですか?

「同じ時期の比較ではないので正確には言えないのですが、感覚としてはおそらく純正より冷えていると思います。
いまから経験を重ねていくという感じですね。いくつか種類も用意していただいているので、コンビネーションのテストなどは今後やっていこうと思っています。」

レースの準備でお忙しい中、終始にこやかに、わかりやすく答えてくださった伊藤さん。
車への好奇心と常に挑戦をつづける姿勢、チームへの信頼感が感じられるインタビューになりました。ありがとうございました。