Contents
サーキット場やロケーション撮影で
上手な写真の撮り方
サーキットに行くなら、スピード感あふれる
モータースポーツを体感するとともに、
その瞬間をできるだけ鮮明に記録にも残したいもの。
ここぞという瞬間をとらえ、納得いく仕上がりに
近づけるための基本的なポイントをご紹介します。
シャッタースピードには、光の量の調節と、被写体の「動き」を表現する役割があります。シャッタースピードとは、シャッターが開いてカメラ内部に光が入り、再びシャッターが閉じるまでの時間のこと。シャッターを開くことで、コップに水がたまるように光の量をカメラの内部のセンサーに集めます。よって、シャッタースピードが速い(=露光時間が短い)と光の量が少なく、遅い(=露光時間が長い)と光の量が多くなります。また、シャッタースピードは撮影したい被写体の動きに合わせて設定するのが基本。被写体の動く速度よりもシャッター速度が遅ければ動体ブレとなって表現され、シャッター速度が速ければ動きは止まって記録されます。
-
High Speed Shutter
高速シャッタースポーツシーンや乗り物など、素早く動くものを、ブレなく静止した状態で写し止めるには速いシャッター速度(高速シャッター)が要求される。写真は、高速で走るレーシングカーを1/2000秒の高速シャッターで撮影したもの。一瞬を切り取ったシャープな仕上がりに。
-
Slow Speed Shutter
スロー(低速)シャッターシャッタースピードが特に低速なことをスローシャッターと言う。シャッターが開いている間に動いたものは動体ブレとなって表現される。スローシャッターはブレのある写真になりがちだが、流し撮りのように、あえて被写体の動感を表現するためにも使用され、動きやスピード感を表現できる。
「流し撮り」の基本
流し撮りは遅めのシャッター速度を設定し、被写体の動きを追うようにカメラを動かして撮る手法。被写体はハッキリと背景は流れるように撮影でき、スピーディーでよりダイナミックな写真になる。ポイントは被写体の動きに応じたシャッタースピードを設定し、その動きにタイミングを合わせられるかどうか。一脚や三脚でカメラの軸を固定し、手や頭ではなく、腰から回転させて被写体の動きを追うとブレにくい。感覚がつかめるまで何度もやってみよう。
-
How to
まずはカメラの撮影モードを確認しよう。流し撮りでは、シャッター速度に応じて自動で絞り値を調節するシャッタースピード優先モード(TvまたはSモード)を使用する。サーキットを高速で走る車を撮る場合、シャッタースピードは1/60秒~1/125秒くらいの中速シャッターに設定し、AFは追従モード(AIサーボ/AF-C)で連続撮影に設定。画面内を横切る車を追いかけるように、カメラを動かして撮る。
プロからひと言
プロの写真家でも流し撮りで納得がいく
作品を撮るのは難しいものです。
何度も諦めずにチャレンジしてください。 -
Point
被写体をスムーズに追いかける
ピントはカメラまかせでOK、動きに集中しよう。望遠レンズを使う場合には少しの動きを追うにも体を動かす距離が大きくなるため、ブレやすくなる。体の軸をしっかりと固定し、被写体に対して平行に同じ速度で追従し、体を振り切ることを心がけよう。一枚で決めようとすると余計な力が入ってしまいがち。何度もトライしながら確率を高めていくつもりで、構えすぎないことが大切。子どもの動きや動物などを追って練習するのもおすすめ。
背景の描写
躍動感とスピード感を出すために大切なのは、被写体の後ろを流れる背景と、メインの被写体のバランス。メインの被写体にピントがきっちりと合い、背景が大きくブレて流れていると、そのコントラストでスピード感のある仕上がりになる。
スロー(低速)シャッターで光とあそぶ
スローシャッターで、印象的な光の流れを撮影してみよう。夕暮れや夜間など、自然光の確保が難しいシチュエーションでは、車のライトに着目してドラマティックな写真にチャレンジ。シャッター速度を遅めに設定し、モードをシャッター優先(Tv/S)からマニュアルに変更し、シャッターと絞りを手動で設定することで、画面の明るさを保ちながら、幻想的な光の軌跡を美しく撮影することが可能に。
写真撮影の際に最も重要なことの一つが「光の向き」です。同じ被写体を撮影しても、光の当たり方によってイメージが大きく変わります。
まず考えておきたいことは、光がどの位置から当たっているかということ。光の方向は「順光・逆光・斜光」と大きく三つに分けられます。
「順光」は被写体の正面から射す光のこと、「斜光」は斜めにあたる光のこと、そして「逆光」被写体の後ろに光源がある状態のことを言います。順光では色やかたちを正確に表現できる一方で、立体感や奥行きが乏しくなり、平坦な印象にもなりがち。特に屋外の撮影では、光の入る向きと高さを少し意識するだけで、仕上がりが変わってきます。
わかりやすい指標は、影の落ち方。影の方向と長さから光の当たり方を意識し、可能ならリサーチを行って最適な撮影ポジションとタイミングを探してみましょう。
逆光を使ってシルエットを美しく演出
レースのドラマティックな戦いを表現するには、逆光を上手く使うと効果的。輪郭もソフトに表現できるので、ストーリーを感じさせる雰囲気のある絵づくりが可能に。せっかくならダイナミックな構図にもチャレンジ。日が沈むと暗くなりすぎるため、あらかじめ日没時間をチェックしてトライしてみよう。
プロからひと言
日没の1.5時間くらい前がおすすめ。
カッコよく撮りましょう!
遠景のバランスとトリミング
サーキットではコースを走る車と観客席の距離があるため、ピントを合わせることに集中していまいがち。そんなときこそ一呼吸して、何をどう撮りたいか、構図を頭にイメージしてみましょう。
トリミングでは作り出せない、新鮮な写真にトライできますよ。
-
日の丸構図
画面の中心に被写体を配置する構図。被写体が小さいと背景の比率が増えて単調な印象になってしまう。被写体を大きく写し込むことで、はっきりと力強い写真になる。
-
三角構図
被写体の位置関係を三角形に見立てた構図。画面にリズム感をもたらすことができる。被写体が小さめで背景のボリュームが大きい場合も、バランスのよいイメージが構築できる構図。
-
S字構図
アルファベットのS字のように、曲線を2つ合わせたような構図。やわらかさとともに、動きのある構図。手前から奥へと続く、奥行きと広がりを感じさせる写真に。
-
二分割構図
左右あるいは上下で大きく画面を分割する安定感のある構図。さらに水平/垂直のラインを組み合わせることで、被写体のポイントを決めやすい4分割構図にもなる。
サーキット場での撮影
納得のいく写真を撮るには、まずは自分の足で歩いて撮影ポジションを探すこと。被写体となる車だけでなく、その背景にサーキットらしい雰囲気を持つ要素、例えば縁石や看板などを入れることを意識してポジションを選ぶと、臨場感のある仕上がりが期待できます。小物では三脚よりも一脚がおすすめ。移動も簡単で、限られた撮影場所で場所を取らずに使えるのがメリット。レースは一回一回が勝負、リタイヤする可能性もあるため、撮りたいと思うものがあったら迷わずその時にトライしておきましょう。