vol.2プロドライバー目線でみるラジエーターとは - レーシング用アルミラジエーター | DRL | DAIWA RACING LABO

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Interview

DRL Professional Interview

vol.2プロドライバー目線でみるラジエーターとは

interviewee:プロレーシングドライバー阪口 良平さん

2021.10.12

(取材日:2021年8月1日 スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook 第4戦 TKU スーパー耐久レース in オートポリス)

レーシングドライバーとして数々の実績とキャリアを重ねられている阪口良平選手。幼少期はモトクロス、高校1年生からレーシングカートを始め、1996年にF4の岡山・美祢サーキットのWチャンピオンを獲得、翌年からF3に参戦。韓国での活躍も経て、鈴鹿1000キロ耐久レースやスーパーGTなど国内レースで活躍し、スーパー耐久では幾度ものシリーズチャンピオンを獲得。

2021年のスーパーGT第4戦では、2006年初参戦以来のGT300クラス初優勝を達成。

46歳には見えないスマートで凛とした印象の阪口選手に、今回はスーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankookの第4戦、決勝レース直前の緊張感ただようピット内で、ラジエーターについてのお話を伺いました。

スタート前のピット内でインタビューに応えてくれた阪口選手
ドライビングシートで出発の時を待つ

まずはラジエーターについて、ドライバーとしてどのように考えていらっしゃいますか?

「もちろん温度との闘いがモータースポーツです。とくにこのシーズンになると水温、油温とも上昇します。ラジエーター=水温で、水温の上昇に引っ張られて油温も上がってしまいます。
より冷えているとエンジンもその分攻めたセッティングができますから、ラジエーターはモータースポーツシーンにおいては絶対必要なものです。
とくに僕は、自分の車は街乗り用の車もスーパーGTとかスーパー耐久などサーキットを走れる仕様にチューニングしているんですが、(他のチューニングアイテムに比べて)どっちかって言うとラジエーターは先に欲しいアイテムです。
ラジエーターは(ボンネットの中にあるので)見えないんでね、なかなかドレスアップというのが難しいかもしれないですが、ボンネットを開けるとわかりますからね、絶対に。」

テスト走行後、画面でチェックをする阪口選手。まっすぐな背筋に感じる凛とした佇まい
車の状態や路面の状況など細かい部分を確認しあう阪口選手とエンジニア

水温3桁を避けるという感覚

運転されているときの感覚としては?

「水温でいえば3桁の数字にいっちゃうと、人間は100℃って聞くとどうしても沸騰するとかカップラーメン食べられるとか(笑)、そういう領域(の感覚)だと思うので、3桁っていうのはなるべく避けたいかなって、いつも思いますよね。」
サーキットの高低差なども考えながら、コース戦略にあわせてメカニックと連携をとるようにしている、と阪口さん。

なるほど、やはり温度は走ってる間ずっと気になるポイントですね。

「たとえばこのサーキット(オートポリス)は高低差のあるコースなんでね、最終コーナーの上りで一番温度が上がって、そのあとのストレートでぐっと冷えるんですよ。
冷えるというのは、当然(ラジエーターの)容量だけじゃなくて、車速や風が当たる量にもよりますからね。一周でちょっとばらつきはあるんですけど(高低差の)一番下がったところで温度をみていて、メカさんにもそう伝えています。」

レース車両でスタンバイ。ぐっと集中する瞬間。

自分ならチューニングは
ラジエーターから

チューニングについて、「自分ならラジエーターを先に考える」とありましたが、
ご自分でチューニングされる方に向けても、ぜひアドバイスをお願いします。

「車の種類によって、エンジンの熱量だけでなく、例えばターボ車ならブーストを上げたりすることでも熱量が絶対発生します。熱量が厳しくてピットに帰ってきてクールダウンさせるっていうのはストレスになりますよね。エンジン関係・ブレーキ関係はとくにキャパがあるほうがより連続走行が可能なので、熱が上がったからピットに帰ってくるっていうのは、本当は走りたいのに、走れないってことになってしまう可能性もありますしね。
それに温度が上がりすぎていいことって何もないんで。エンジンの補正が入ってパワーがなくなってくるってこともあるので、見えないアイテムかもしれませんけど、なるべく早め、とくに夏も走りたいっていう方、気温が上がった時でも走りたいっていう方には、特におすすめだと思います。」

レース当日はあいにくの雨模様

レース当日はあいにくの雨模様DRLのラジエーターを使ってみて、印象はいかがですか?

「ST-3クラスから僕はTRACY SPORTSで何度も走っていて、ST-3クラスでチャンピオンも2度獲っているんですけども、水温を気にして走れなかったことは一度もないです。
そういう意味ではすごく助かってます。ぶつかったこともあんまりなくて、損傷もなかったですね。(他では)何もなくても損傷することもあるんですけど、熱とか振動とかで。
DRLさんはサーキットシーンにおいても安定度というか、信頼をおけるパートナーだと思います。」

ありがとうございます。安心して走りに集中できるということですね。

「そうですね。ただ今回については、スープラがターボ車になって熱量が大きくなってるんでね。僕たちのスープラは(市販車を改造した)前期型なんです。他のGT4のスープラとかBMWのエンジンは後期型のエンジンを積んでますからね、それと比べると水温的にはちょっと厳しいなと思っています。
シビアにはなってきますが、夏になればなるほどそういう差が出てくるというのも、ずっと一年間追っかけてきて、走りを重ねながらわかったことです。それでもなんとか(水温上昇を)抑えてもらってます。」

熱と闘いながら長い時間走り続けるコントロールに加えて、グッと加速したい時もあるのでは?

「データを見ながらですね。メーターの水温が高かったら無線で高いよと伝えて、エンジニアの伊藤さんがそれでも行ってくださいって時もあれば、キープしてくださいってこともあります。メーターをみてプッシュするっていうよりは、一回チームに無線で投げかけて、それでも良いかっていうことを確認しながらやっています。自分だけの意思ではやらないです。」

モータースポーツならではですね。チームが優先ということですね。

「そうですね。やっぱりエンジニアさんとしてはエンジンを壊したくないし、より燃費もよくしたいというのがスーパー耐久でもありますからね。
勝負をかける時もあれば、今回も5時間という長丁場でゴールしての成績次第ですからね。
僕たちがでているST-1というクラスでは、ほかの2台がスーパーカーと未来型マシン、ポルシェとKTMで、もともとがすごく早い車です。実際車重とかパワーも、僕たちの手作りの車から比べるとかなり戦闘力があるんですが、第二戦のSUGOでも優勝できたし、安定度っていう意味で長いレースで負けないように、戦略でやりたいなと思っています。そういう意味では長ければ長いほどいいのかなとも思ってるんですけど。悩んでるところはいまはないです。」

甥である阪口晴南選手とドライバー2人体制で挑んだS耐第4戦。最終ラップ105周 2位でフィニッシュ

レースではスープラの違いに注目

最後に、今日のレースを観ている方、自分でも走る方に向けてメッセージをお願いします!

「今日のレースではいろいろな車が走っていると思うんですが、僕たちのスープラは現行のスープラのRZという車で、それを一から改造して、ボディ・サスペンション・ラジエーターといろんなところを手作りで作っている車です。
ST-3クラスに参戦している、僕たちの今回のスープラは(レーシング専用のシリーズのスープラと違って)メーカーの市販車をメンテナンスしています。車高も低くエアロもついていて、ちょっと個性がある車に仕上がっています。個人的には7月のスーパーGTと同じカラーリングなのもあって、かっこいいと思ってもらえたらうれしいです!エアロパーツも市販で売っているINGSさんのものだったりするので、観ている方にとっては乗っている車とか、買おうと思っている車に近くて、より親近感が沸くんじゃないかなと思ってます。
あとは加えてスピードが出せるようにしたいと思うんですけども、それは5時間走って、ゴールしてみての結果ですね。長丁場を淡々と、今回は弟の子供の甥っ子(阪口晴南)と二人なんですけども、頑張っていきたいと思います。」

決勝レース前の貴重なお時間で取材に答えてくださった阪口選手、スポーツ選手らしい清々しさと、クールな口調の中に走りを愛する情熱が感じられるお話が印象的でした。
ありがとうございました。

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